ギターの弦を押さえる位置、ピアノの鍵盤の並び——「心地よい音」の裏側には、実は簡単な整数の比が隠れています。最終号は、音楽と数学が同じ根っこでつながっていることを、ピタゴラスと自然界の数列から見ていきましょう。
紀元前6世紀ごろ、ピタゴラスとその一門は、1本の弦を弾いて音を出し、指で押さえる位置を変える実験をくり返しました。弦の長さをちょうど半分(1:2)にすると、1オクターブ高い、とても調和した音が鳴ります。長さを2:3にすると「完全五度」、3:4にすると「完全四度」と呼ばれる、これまた心地よい響きが生まれる。複雑な理論ではなく、単純な整数の比こそが「きれいな音」の正体だとピタゴラスたちは見抜いたのです。この発見は、その後の音楽理論・楽器づくりの土台になりました。
弦の長さを1:2、2:3、3:4という単純な整数の比にすると、それぞれオクターブ・完全五度・完全四度という調和した音程が生まれる。
1,1,2,3,5,8,13…と、前の2つの数を足して次の数を作る数列を「フィボナッチ数列」と呼びます。第1号で紹介したフィボナッチが1202年にヨーロッパへ紹介したこの数列は、実はひまわりの種の並び方や松ぼっくりのうろこ、オウムガイの殻の渦巻きなど、自然界のあちこちに姿を現します。隣り合う数の比(3/2, 5/3, 8/5…)は、数が大きくなるほど「黄金比」と呼ばれる約1.618という値に近づいていきます。楽器の美しい曲線や建築のデザインに、この比を意識して取り入れる作り手もいます。
ピタゴラスが発見したとされる、きれいな音が鳴る秘密とは?
1,1,2,3,5,8,13…と前の2つの数を足す数列を何という?