人工衛星もロケットもない紀元前に、たった1本の棒の影から地球の大きさを計算した数学者がいました。「自分がどこにいるか」を数字で表すという発想は、今もスマホの地図アプリの中で生き続けています。
紀元前240年ごろ、エジプトの図書館長エラトステネスは、南の街シエネ(現在のアスワン)では夏至の正午に太陽が真上から差し、棒の影ができないことを知りました。一方、北にあるアレクサンドリアでは同じ瞬間、棒にわずかな影ができる。この「影の角度の差」は、地球が丸いために生まれるものです。2つの街の距離と角度の差さえ分かれば、比例計算だけで地球1周の長さが求められる——彼はこの方法で、実際の値に近い数字を導き出しました。
同じ瞬間の太陽光でも、2つの街では棒の影の角度が違う。これは地球が丸いために起きる差で、角度と2都市間の距離から地球全体の大きさを比例計算で求められる。
2世紀ごろの天文学者プトレマイオスは、地球上の位置を「緯度・経度」という数字の格子で表す方法を整理しました。これは地図に座標という数学を持ちこんだ大きな一歩です。現代のGPSも考え方は同じ。スマホは複数の人工衛星から届く電波の時間差を測り、「衛星からの距離」を計算して、自分がいる場所を割り出します。エラトステネスが影の角度から地球を測ったように、GPSも距離と角度の数学で位置を求めているのです。
エラトステネスは何を利用して地球の大きさを計算した?
GPSが位置を特定するときの考え方に近いものは?