数楽新聞

SUGAKU SHIMBUN
中学生のための数学史クォータリー
第2号 ・ 年4回発行 今号のテーマ:暗号と数学 次号予告:地図と数学
特集

「バレない手紙」を数学で作る、二千年の知恵くらべ

友だちにだけ伝えたい秘密、戦場での作戦指示——「他人に読まれたくない文章」をどう守るかは、二千年以上前から数学の大きなテーマでした。文字をずらすだけの単純な工夫から、いまインターネットを守る超巨大な数まで、暗号の歴史をたどってみましょう。

ユリウス・カエサルの「3文字ずらし」

古代ローマの将軍ユリウス・カエサルは、部下に送る軍事連絡を、アルファベットを一定数だけずらして書かせていたと伝えられています。たとえば3文字ずらすと、Aは「D」に、Bは「E」に変わります。読み方さえ知っていれば元に戻せますが、知らない人にはただの記号の羅列にしか見えません。この方法は今も「シーザー暗号」と呼ばれています。

元の文字 A B C D 3つずらす D E F G

A→D、B→E のように、アルファベットを同じ数だけずらして置きかえるのがシーザー暗号。ずらす数(鍵)は26通りしかないため、現代の目で見るととても簡単に解読できてしまう。

いまの暗号は「巨大な数」でできている

現代のインターネット通信を守る暗号(RSA暗号など)は、文字をずらす代わりに「とても大きな数のかけ算・素因数分解」を利用します。2つの大きな素数をかけ算するのは一瞬でできますが、逆にその答えから元の2つの素数を探し出すのは、スーパーコンピュータでも途方もない時間がかかります。この「かけ算は簡単、逆算は超困難」という性質が、パスワードやオンライン決済を守る鍵になっているのです。

豆知識
第二次世界大戦中、ドイツ軍の暗号機「エニグマ」は「解読不可能」といわれていましたが、イギリスの数学者アラン・チューリングたちが作った解読機によって解読されました。この解読機は、今日のコンピュータの原型のひとつとも言われています。

クイズコーナー

Q1

シーザー暗号は、文章をどうやって暗号にする?

  • 単語の順番を入れ替える
  • アルファベットを一定数だけずらす
  • 文字を鏡文字にする
  • 文字をすべて数字に置きかえる
こたえ:B(一定数だけずらす)
Q2

現代のインターネット暗号(RSA暗号)が利用している数の性質は?

  • 大きな数の素因数分解が非常に難しいこと
  • 円周率が無限に続くこと
  • 三角形の内角の和が180度であること
  • 図形が左右対称であること
こたえ:A(素因数分解の難しさ)