数楽新聞

SUGAKU SHIMBUN
中学生のための数学史クォータリー
第1号 ・ 年4回発行 今号のテーマ:お金と数学 次号予告:暗号と数学
特集

「0」がなければ、お財布の中身も計算できなかった?

いま私たちが当たり前に使っている数字の書き方——1、10、100……——は、実は1500年ほど前にインドで生まれた発明品です。この「0」と桁の仕組みがなければ、銀行の利子計算も、レジのお釣りも、いまとはまったく違う姿になっていたかもしれません。

ローマ数字では、利子の計算が地獄だった

大昔のヨーロッパでは、数字は「I・V・X・L・C・D・M」を組み合わせるローマ数字が使われていました。1988年は「MCMLXXXVIII」と書きます。読むだけでも一苦労ですが、本当に困るのは計算です。筆算のように位をそろえて足し算・引き算をする、という発想がローマ数字には向いていません。商人たちは利子や両替の計算のたびに、そろばんのような道具に頼るしかありませんでした。

ローマ数字 MCMLXXXVIII アラビア数字 1 9 8 8

同じ「1988」でも、ローマ数字は記号の組み合わせ、アラビア数字は「位」で意味が変わる仕組み。位取りがあるからこそ、筆算で足し算・引き算・利子の計算がスムーズにできる。

フィボナッチが持ち帰った「便利すぎる数字」

1200年ごろ、イタリアの商人の息子レオナルド・フィボナッチは、父の仕事について北アフリカ(現在のアルジェリア)に渡りました。そこで出会ったのが、すでにインドから伝わっていた「0」を含む数字です。位取りのおかげで利子計算が驚くほど速くできることに気づいた彼は、1202年に『リベル・アバチ(算盤の書)』を書き、この数字をヨーロッパに紹介しました。

最初はローマ数字に慣れた商人たちから警戒されましたが、その計算のしやすさから少しずつ広まり、やがてヨーロッパ中の帳簿や取引で使われるようになっていきます。

豆知識
「フィボナッチ」は本名ではなくニックネーム。本名は「レオナルド・ピサーノ(ピサのレオナルド)」で、「フィボナッチ」は後世の人が付けた「フィリオ・ディ・ボナッチ(ボナッチの息子)」の略です。

クイズコーナー

Q1

「0」を数として扱う計算のルールを初めてまとめたのは、どの地域の数学者たちだったでしょう?

  • 古代ギリシャ
  • 古代インド
  • 古代ローマ
  • 古代エジプト
こたえ:B(古代インド)
Q2

1202年に『リベル・アバチ』を書き、アラビア数字をヨーロッパに広めた数学者は誰?

  • ピタゴラス
  • アルキメデス
  • フィボナッチ
  • ユークリッド
こたえ:C(フィボナッチ)